最近、鉄道や自動車などの、移動関連のニュースで聞く”MaaS”について、調べたので紹介します。
1.MaaS(Mobility as a Service)とは
MaaSとは、Mobility as a Serviceの略でマースもしくはマーズと読みます。MaaSとは、都市の渋滞や交通網の地域格差、高齢者ドライバーの事故などの、交通改革よって社会問題を解決するため、ICTを活用して効率の良い移動方法提案しを生み出していく新しい移動の概念です。MaaSの代表されるサービスとして、出発地から目的地までのルートを鉄道、バス、フェリー、自転車シェア、カーシェアなどを加えた経路検索・予約・決済を一元管理できるシステムです。加えて、乗車予約を同じシステムで実施することができシームレスな移動を実現します。日本では広い意味でMaaSという言葉を使用していて、目的地までの移動手段の情報統合に限らず、物流やカーシェア、ウーバーイーツなどの移動によるサービス提供もMaasに含まれています。
環境にやさしい?メリットは?
MaaSによって、自家用車に頼った生活に減らし、公共交通機関や自転車シェア、カーシェア等の使用を促し、新しいモビリティ生活へと転換させます。
そのため、環境にやさしいモビリティライフスタイルを創造していくのにMaaSは、とても有効です。
環境対策として、公共交通機関への促しは、政策でよく聞きますが、MaaSはICTを活用して、誰もが簡単に効率的に移動できるシステム構築し、社会全体の移動に対する価値観が変わっていくことを目指しています。
メリット主に下記になります。
- 交通渋滞緩和
- 環境汚染軽減
- 効率的な移動
- 地域移動の活発化
Mobilityは広い意味で”乗り物”
先ほどから使用している”モビリティ”という言葉の意味は「動きやすさ、移動」です。
しかし、現在では言葉の意味が広がり、鉄道、自動車、車イスなどの「移動手段」の総称を”モビリティ”と呼んでいます。
最近の自動車会社は”車”を”モビリティ”と呼ぶようになっています。
○○as a Serviceって
「as a Service 」ってMaaS独特の言葉ではありません。継続的にお客さんとつながるサービスを「as a Service 」と呼びます。他の「as a Service 」には、Saas(Software as a Service)DaaS(Device as a Service)があります。「as a Service 」を直訳すると”サービスとしての”で、Saasのを訳すと”サービスとしてのソフトウェア”となります。モノを売って終わりではなくサービスも含めて売る。それが「as a Service 」です。そして、日本での例として、コピー機を売るだけでなく、コピー機をクラウドで接続しをインク量や故障状況をメーカーと情報共有しインク交換サービスやメンテナンスサービスとして売る。
近年ではスマートフォンなどの技術の発展などにより、as a Serviceの提供がしやすくなっています。
2.代表サービスはフィンランドのMaaS「Whim」
MaaSの概念を世界で初めて導入したフィンランドのglobalが提供するアプリ「Whim」
鉄道、バス、フェリー、自転車シェア、カーシェアなどを、あらゆる移動サービス情報を統合して最適な移動手段や経路を確認できます。
Whimの一つの特徴として、3つの料金プランです
Whim To Go (ウィムトゥーゴー) | 月額無料。公共交通期間やタクシーなどに乗車する際には、その都度、運賃を支払う必要。 |
Whim urban (ウィムアーバン) | 月額利用料。公共交通機関は追加料金なしで利用可能。またタクシーを利用する場合には、ヘルシンキでは5キロまで10ユーロ、レンタカーなら1日49ユーロで借りることができる。 |
Whim Unlimited (ウィムアンリミテッド) | 基本的にすべての乗り物が追加料金なしで利用可能 |
このように、経路から支払いまでを「Whim」で行うことができます。
このWhimは日本での実証実験も行っております。
3.MaaSレベル
MaaSにはレベルは下記の通り定義されています。
レベル0:移動サービスの統合なし
レベル1:様々なサービス情報の統合(googlemap,NAVI TIME等)
レベル2: 予約支払いの統合(1つのアプリ上で様々な移動サービスの予約ができる)
レベル3:サービス提供の統合(Whimの定額制など)
レベル4:社会全体の目標の統合(事業者レベルを超えて、環境問題等の社会的問題の解決)
このレベルはフィンランドで定義され、日本のMaaSレベルは0~1であると言われています。
4.日本では広義のMaaSと狭義のMaaS
海外のMaaSは主にフィンランドのWhimような移動サービスの統合を目的としていますが、日本のMaaSは国土交通省の指針によると移動サービスの統合は狭義のMaaSとして定義され、もっと大きい広義のMaaS定義が存在しています。他にも都市型MaaS、地方型MaaS、観光型MaaSなど日本では細かくMaaSが分類分けされています。
参考:楠田 悦子. 60分でわかる! MaaS モビリティ革命 60分でわかる!IT知識
5.じゃあ、日本でのMaaS実例は?
JR東日本:交通系ICカードsuicaと地域ICカードとの連携を発表したり、JREポイントと各種サービス連携させ利便性向上を図っている。JR東日本は「モビリティ・リンケージ・プラットフォーム」が示す複数の移動手段をシームレスにつなぐ仕組み作りを行っている。近年ではANAと共同でMaaSを進めていくと発表している。
TOYOTA:CES2020にて、MaaSをはじめとする自動運転、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム、人工知能(AI)などの技術を人々が実際に生活する環境の中で、導入・検証するための未来都市「Woven City」をつくると発表。
ナビタイムジャパン:NAVITIMEのナビは、車、徒歩、自転車などの道路検索とバス、飛行機、鉄道を組み合わせて一度に検索することが可能となっています。
6.まとめ
今回、MaaSについて調べてみました。
目的地までの移動手段を効率的に決められるのがMaaSだと思っていましたが、
日本では、物流サービス、カーシェア等々の広義のMaaSという大きなくくりで定義されていました。
もしMaaSが実現できれば、目的地を入力するだけで、どの交通手段で行けばいいのか決まり、予約まで同時に出来たら、交通手段選びで迷うことが無くなりますよね。
加えて、渋滞緩和や高齢者の自動車免許問題も解決できるとなればかなり理想的な策になりますね。
ただ、MaaSは交通手段を選択するのに効率的に上がるのでを使用する消費者側にもメリットがありますが、企業側に大きくメリットがあるかとなると疑問があります。
単に移動手段を組み合わせするだけでは、今以上に運賃収入を得ることができません。むしろMaaSによる統合システムを運営する側に手数料を取られ、利益が下がる可能性もあります。そのため、多くの鉄道会社がやっているように、ホテルや飲食業などの新たなビジネスに挑戦していくことが今まで以上に求められるかと思います。移動する目的を創造し相乗的に業績を伸ばしていくビジネスを開拓していく必要が交通事業者に求められていくのかなと感じました。
以上しろーさんでした。
ではでは。